Sony SRS-HG10 雑感

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Photo by hyt.

Sony SRS-HG10 雑感です.

いつもの通り結論から言うと,

お値段相応以上の価値はあると思いますが,USB-C に対応してないことと,そして何より Music Center アプリの使い心地が問題

だと思います.

購入の動機

少し前まで電球スピーカー SONY LSPX-103E26 を使ってたんですが,スタンドをバッテリー式のものに交換したので,設置場所がなくなってしまい手放さざるを得なくなりました.

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SONY LSPX-103E26 の場合は AAC もしくは SBC コーデックによる Bluetooth 接続でしたので,同様に Bluetooth 接続で使えるもので,さらに出来ればバッテリーで動くものがあると良いなぁ……と思って選んだのが本製品です.

より低価格(かなり低価格)な製品で Anker Soundcore ポータブルを使ってたこともあるので,買い直そうかなとも思ったのですが,

  • SBC にしか対応してないこと
  • 充電しながらライン入力を使うと端子を挿すところが近いせいかノイズが乗ってしまう
  • やっぱりあんまり音良くない( LSPX-103E26 と比較してもそう感じる)

ですし,そもそも同じものを買ってもおもしろくないなぁって思ったのもあります.

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開封の儀

購入価格は約20,000円です.付属品は以下の通り.

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本体と USB-A の充電器と microUSB の充電ケーブル,そして説明書です.付属品は意外と少ないなぁって思いました.色はホライズングリーンで,落ち着いた感じでとっても良い.

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デザインは角が取られた少し横に細長い直方体で,シンプルそのものです.どこに置いても邪魔にならないデザインだと思います.

仕様

Anker の Soundcore Liberty と比較して驚いたのはボタンの多さです.

まず,上面に

  • 電源
  • ボリューム上
  • ボリューム下
  • EXTRA BASS(長押しで Bluetooth ペアリング)
  • 再生・停止(受話)

の5ボタンが用意されており,背面にさらに

  • FUNCTION(音の入力を選択するためのボタン)
  • STEREO PAIR(2台の本機をステレオで使うためのボタン)
  • SET UP(他のスピーカーと組み合わせて使うためのボタン)
  • UPDATE/WPS (WPSによる無線設定や本機をアップデートするときに使うボタン)

の4つのボタンが用意されています.

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そして,写真には撮り忘れましたが下面にはスピーカーグリルと取り外すためのボタン

Photo by hyt.

まであります(正直外すことないのでこのボタンはなくても良いんじゃないかなと思いはしますが).最近の製品としては珍しいくらいにボタンだらけです.とは言え,ボタンで色々操作できるってのは分かりやすいですし,デザインが工夫されているせいなのかボタンが多くてもスッキリして見えるので,このボタンの多さは欠点ではなく利点だと個人的には感じます.

また,入力も実に色々な方法に対応してます.並べてみると,

  • Bluetooth (LDAC, AAC, SBC)
  • Wi-Fi (Chromecast-built-in, DLNA, Spotify Connect, Music Center)
  • ライン入力
  • USB入力

に対応しており,さらに,ファイル形式として DSD, DSF, WAV, AIFF, FLAC, ALAC に対応しているとされています(多分 Music Center か DLNA で直接送り込むことで再生するんだと思う).あと,NFC にも対応してて,対応機器だとワンタッチでペアリングできて,ハンズフリーにも対応してて,

  • ClearAudio +
  • S-Master HX
  • DSEE HX

なる音源のアップコンバートにも対応してる(S-Master HX はフルデジタルアンプのことなので少し違いますが),とまさにてんこ盛りです.

逆に言うと対応してないのは,

  • AirPlay
  • APT-X/APT-X HD
  • 光デジタル入力

くらいのもので,よくもまぁこんな小さくて安価なスピーカーにこれだけ詰め込んだよなぁ……と思うくらい色々対応しています.個人的に最も残念なのは AirPlay に対応してないことでしょうか.

これだけ対応してても使わない……と思うかも知れませんし,私もそう思っていたんですが,実際に使い始めると,

  • スマホ,タブレットからは Bluetooth 接続
  • Windows, MacOS などからは Chromecast built-in (Chrome 経由で使う)で使う
  • Volumio からは USB 音源として使う

のような感じで,複数の所有端末,機器からあまり何も考えずに使うことができるってのは本機の大きな利点だと思います.

参考までに Linux に USB 接続したときどんな風に見えるのかを以下に示します.

まず,Device ID は以下の通りです.

$ lsusb
...
Bus 001 Device 012: ID 054c:0b8c Sony Corp. 
...

対応フォーマット一覧は以下の通り.

$ cat /proc/asound/card2/stream0
Sony Sony Audio at usb-0000:00:14.0-2, high speed : USB Audio

Playback:
  Status: Stop
  Interface 1
    Altset 1
    Format: S32_LE
    Channels: 2
    Endpoint: 1 OUT (ASYNC)
    Rates: 32000, 44100, 48000, 88200, 96000, 176400, 192000, 352800, 384000
    Data packet interval: 125 us
  Interface 1
    Altset 2
    Format: S32_LE
    Channels: 2
    Endpoint: 1 OUT (ASYNC)
    Rates: 32000, 44100, 48000, 88200, 96000, 176400, 192000, 352800, 384000
    Data packet interval: 125 us
  Interface 1
    Altset 3
    Format: S32_LE
    Channels: 2
    Endpoint: 1 OUT (ASYNC)
    Rates: 32000, 44100, 48000, 88200, 96000, 176400, 192000, 352800, 384000
    Data packet interval: 125 us
  Interface 1
    Altset 4
    Format: S24_3LE
    Channels: 2
    Endpoint: 1 OUT (ASYNC)
    Rates: 32000, 44100, 48000, 88200, 96000, 176400, 192000, 352800, 384000
    Data packet interval: 125 us
  Interface 1
    Altset 5
    Format: S24_3LE
    Channels: 2
    Endpoint: 1 OUT (ASYNC)
    Rates: 32000, 44100, 48000, 88200, 96000, 176400, 192000, 352800, 384000
    Data packet interval: 125 us
  Interface 1
    Altset 6
    Format: S16_LE
    Channels: 2
    Endpoint: 1 OUT (ASYNC)
    Rates: 32000, 44100, 48000, 88200, 96000, 176400, 192000, 352800, 384000
    Data packet interval: 125 us
  Interface 1
    Altset 7
    Format: SPECIAL
    Channels: 2
    Endpoint: 1 OUT (ASYNC)
    Rates: 32000, 44100, 48000, 88200, 96000, 176400, 192000, 352800, 384000
    Data packet interval: 125 us

仕様だと 32000, 352800, 384000 への対応は明記されてませんし,S32LE への対応も明記されていません(S16LE と S24LE への対応のみ明記)が,なぜか対応しているような表示になっていますし,実際,S32LE, 44100 Hz でキチンと再生してくれます.明記されている以上のものにも対応しているっぽくて,なんとなく得したような気分がしますね.

安定性

私の場合,本機を実際に色々な接続方法で使っていますが,どの接続方法でも,

非常に安定

して使えています.少なくとも私の場合は本機が原因の問題は経験したことないです(遅延の大きさとかの問題は除きます.また,Spofity は使ってないので試したこと無いので未評価です).

これ,恐らくソフトウェアがかなりこなれているからだと思います.

背面にあるボタンからすぐに分かることですが,本機,今時の機器らしくファームウェアのアップデートに対応しており,現在のバージョンは 6.05.6050 です.見ての通りかなり高いバージョン番号です.

どうも本機は前世代の SRS-HG1 とファームウェアが同一のよう.で,ファームウェアのアップデートは 2016年から行われているようですが,数年前と比べると明らかに更新頻度が落ちており,現世代の SRS-HG10 になってからはわずか1回しかアップデートされてない.

本体アップデート情報 | アクティブスピーカー/ネックスピーカー | ソニー
ソニー アクティブスピーカー公式ウェブサイト。最新の製品情報、活用情報、サポート情報を公開しています。

逆に言えば,安定したのでアップデートの必要性もないんだろうと思います.

音について

私はあまり耳よくないですし,音の好みは人それぞれなので,あくまで私の個人的な感想でしかないですが,

サイズから考えると驚くほどよい音

だと思います.低音もそれなりに出ますし,小さな音でも聞き取りやすい.少なくともいままで使ってきた電球スピーカーの LSPX-103E26 とか Anker の Soundcore ポータブルなんかとは比べられないです.

なお,音の良し悪しはもちおろんつなぎ方が大きく影響します.Bluetooth でつなぐ場合は SBC と LDAC ではやっぱり LDAC の方が音が良いですし,USB でつなぐともっと良くなる.あと,ClearAudio + とか DSEE HX をスマホ専用アプリ(Music Center)で有効にすると音がかなり変わります.

要するにキチンと高音質に対応したつなぎ方をして,キチンと設定すればそれに応じて良い音になりますし,あまり何も考えずにつないでもそれなりの音はするという感じでしょうか.

連続使用可能時間・充電

連続使用可能時間は仕様上12時間だそう.私の場合はこれで十分以上です.少なくとも私の場合半日くらいしか連続して使ったことないですし,疲れるのでこれ以上の時間連続して使うこともありそうにないからです.

次に,充電時間はかなり長めだと思ったほうが良いでしょう.低充電状態(30%くらい)から満充電(100%)まで充電するには一晩くらいは見ておいた方が良いと思います.いわゆるスマホなんかにある急速充電には対応してなさそう.実際,付属の充電器は 5V x 1.5A とかなり容量が小さいですし,本体の充電口も microUSB です.

Photo by hyt.

逆に言うと,この microUSB でのゆっくりとした充電(接続も)にしか対応してないってのは欠点の一つだと思います.

ソフトウェア

本機を使うために提供されているソフトウェアが Music Center です.ただし,スマホ向けアプリと PC 用アプリともに同じ名前ではありますが,中身は全く違います.

まず,スマホ向けアプリは,iOS, Android 用のアプリが用意されていますが,これは基本的にはスマホを本機のリモコンとして使うアプリです(スマホの中にある音源ファイルを再生にも対応はしています).

Sony | Music Center - Google Play のアプリ
ソニー製オーディオ機器の操作ができます。
‎Sony | Music Center
‎外出先でも家でも音楽をめいっぱい楽しみたい。そんなあなたにSonyが提供するアプリです。 このアプリひとつで最高の音質をもつハイレゾ音源をどこでも聴くことができます。 さらにSonyのオーディオ機器と接続すると、機器ごとに最適化された設定...

実際,このアプリを使うと,

  • ClearAudio+, イコライザー,DSEE HX のオン・オフ)
  • オートスタンバイの設定,電池残量の確認と音声通知設定
  • Bluetooth コーデックを SBC に固定するか否かの設定
  • ソフトウェアアップデート,機種名,タイムゾーン,IPアドレスの確認
  • 電源 OFF
  • 音量の上下

などを Wi-Fi 経由で実行できます.なお,これは音を Wi-Fi 経由で鳴らしているときのみ使えるのではなく,Bluetooth 経由,USB 経由,Audio-in 経由等いずれの場合もこのアプリ経由で音量の上下や ClearAudio + のオンオフの設定を行うことができます.

また,USB, Audio-in の切り替えもこのアプリからワンタッチで出来るのですが,なぜか Bluetooth,Home Network(Chromecast Built-in)  への切り替えはアプリからはできません.これらに切り替えたい場合は本体にある「Function」ボタンを押す必要があります.

なお,Bluetooth も Home Network(Chromecast built-in) も端末から接続しにいけば(例えば Chrome からキャストを選べば)自動的に該当のものに切り替わるので,アプリからワンタッチで切り替えられなくても少し面倒になるだけで実用上の問題は無いんですが(例えば Bluetooth なら一旦接続解除して再接続すればよいから),アプリから統一的に切り替えを操作出来ない分やはり使い心地としてはあまり良くないなぁって思います.何と行っても分かり難いですし.

そして,さらにヤヤコシイのが,PC のアプリです.

https://musiccenter.sony.net/ja/

名前は全く同じ,Music Center なんですが,これはリモコンアプリではなくて,音楽転送,管理アプリです.要するに iTunes と同じ目的のアプリだと思えば良い.このアプリ,リモコン的な機能はほぼ全くと言っていい程ありません.SRS-HG10 の場合,音源を Wi-Fi 経由,もしくは USB 経由で送り込むために用いるアプリだと思えば良い.つまり,SRS-HG10 の場合,このアプリが必要になるのは,PCから DSD やハイレゾ音源を直接 ASIO/WSAPI ドライバ経由に送り込みたいときで,この場合,音量の調整さえもこのアプリからできなくなり,本体の音量ボタンを使うかスマホの Music Center アプリを使わなければなりません.正直,

不便すぎですし,分かり難すぎます.

おまけに Windows 用のアプリしか用意されていません(MacOS 用のものが無い).

さらに理解できないのは,直接 IP アドレスを指定ることで現れる以下のようなページがあることです.

このページの存在,全く説明書等に記述がないのですが,ネットワークの状態について参照できるだけでなく,ネットワーク名の変更や接続先の SSID, PASSWORD の設定,IPv6 への対応,固定 IP アドレスの設定などを行うことができます.

Photo by hyt.

正直,このページでなんでスマホの Music Center で行う設定を変更できるようにしてないのか疑問ですし,さらに,このページに音源ファイルをドラッグアンドドロップすれば再生してくれるようにすればさらに分かりやすい.

もちろん時代的にも実用的にもスマホアプリが必要であることは分かります.しかし,同じくらい本体だけで全て完結するってのも大切なのに,

  • リモコン ⇒ Music Center for iOS, Android
  • 再生 ⇒ Music Center for PC
  • ネットワーク周りの設定 ⇒ Web ページ

のようにバラバラのソフトを利用しなければならず,さらに大きく機種依存してしまっている訳です.ハードウェアが非常に汎用的に使えるように作られているにも係わらず,ソフトウェアがそれに反した作りになっていることが本機の最も大きな欠点だと思います.

以上

GadgetSony
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