GENKI Bluetooth を Volumio2 で使ってみた備忘録

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Photo by hyt.

GENKI Bluetooth を Volumio2 で使ってみた備忘録です.

前置き

Volumio2 を使う動機ってのは,安価かつ手軽に音の良い音楽視聴環境を作れるってとこだと思います.しかし,Bluetooth 接続のスピーカー等は例外です.Volumio2 のベースは Linux で,AAC, apt-X, LDAC などのプロプライエタリなコーデックは Linux 用が開発元から提供されていないからです.と言うか,そもそもそれ以前に Linux で Bluetooth を使うのって手軽とは言えないです.

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もっとも全く解決方法が無いわけじゃありません.Raspberry pi zero 向けの解決策としてもっともスマートなのは,emerge+ さんの開発された「はちわれRN52 for I2S DAC」

emerge+ショップ

でしょう.何と言っても見た目が綺麗ですし.

しかし,この「はちわれRN52 for I2S DAC」もコーデックの対応は SBC まで.手軽さとスマートな見た目を両立できるのは確かなんですが,せめて AAC か apt-X に対応できたらなぁ……と思っていた訳です.

GENKI Bluetooth って?

さて,こんな風に思っていたところで,ある日見つけたのが,GENKI Bluetooth という製品です.本製品,元々は,KICKSTARTER でクラウドファウンディングされたもので,今だと比較的安価(5500円程度)に AMAZON 等から購入できます.本製品の開発目的は,NINTENDO SWITCH を Bluetooth ヘッドフォン等で使える様にすることですが,ゲーム機で使うんですから遅延しがちな SBC ではなくて,AAC, apt-X, apt-X LL が対応コーデックにももちろん対応しています.

Just a moment...

最初は単に「へー」と思っただけだったんですが,使い方を見てみるとえらく簡単です.

単に USC-C 接続端子に挿して,3秒ボタンを押してペアリングモードにして,Bluetooth ヘッドフォン等をペアリングさせるだけ.接続させるために何か設定用のソフトを入れて……なんていう部分が全くありません.

どんな仕組みなのかなと少し疑問に思って KICKSTARTER のページをナナメ読みしてみると,どうも,NINTENDO SWITCH だけじゃなくて,PS4, PC, Mac, Android(ここまで正式対応), iPad pro(これは写真には使えるよって感じで写ってる)にも対応しているようで,仕組みは,どう考えても,USB 接続の音源として OS から認識され,Bluetooth 接続部分は GENKI Bluetooth 内部の処理として完全に隠蔽されているようにしか見えません.

と言うことは,USB 音源として Volumio 2 が認識してくれれば問題なく Volumio2 でも使えるだろうなと思った訳ですね.

GENKI を Volumio2 から使えるように設定してみる

と言うことで,実際に GENKI を Volumio2 から使ってみました.なお,試したのは Raspberry pi zero WE にインストールした Volumio2 ver 2.559(執筆時点の最新版)からです.

まず,GENKI と Raspberry pi の接続は以下の写真の様にしました.

Photo by hyt.

Raspberry pi zero WE には USB-C のポートはありませんので,規格違反ではありますが, 以下のUSB-C to microUSB 変換端子を経由させています.

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また,Raspberry pi zero WE への電源供給は,GENKI の USB-PD パススルー機能を利用して USB モバイルバッテリーから行なっています.おかげでかなり配線がスッキリした感じになりました.なお,GENKI を接続する microUSB のポートと電源供給のポートを分けることも出来ますが,次の2つの理由で実用的な意味はなさそうです.

  1. GENKI が横に張り出していることから電源供給ケールブと干渉してしまう.
  2. Raspberry pi zero WE の microUSB ポートの電源周りに余裕がないせいか,GENKI を挿すと Raspberry pi zero WE 自体が再起動してしまう.

この問題を解決するにはセルフパワーの USB ハブを Raspberry pi と GENKI の間に挟まないとダメだと思いますが,そうすると Raspberry pi zero WE の小ささがほとんど無意味になってしまいますし,そこまでするなら Raspberry pi3 辺りを使った方はるかにスッキリした感じになるだろうと思います.

上の配線で Raspberry pi を起動させると,次のような感じで GENKI Bluetooth が Volumio2 から認識されていることが確認できます.

$ dmesg | grep GENKI
[    4.225171] usb 1-1: Product: GENKI Audio
[    4.234206] input: GENKI Audio Consumer Control as /devices/platform/soc/20980000.usb/usb1/1-1/1-1:1.3/0003:0A12:1004.0001/input/input0
[    4.304518] input: GENKI Audio as /devices/platform/soc/20980000.usb/usb1/1-1/1-1:1.3/0003:0A12:1004.0001/input/input1
[    4.305374] hid-generic 0003:0A12:1004.0001: input,hiddev96,hidraw0: USB HID v1.11 Device [GENKI Audio] on usb-20980000.usb-1/input3

しかしなぜか lsusb だと出てこないんですが,気にしないことにします.

$ lsusb
Bus 001 Device 002: ID 0a12:1004 Cambridge Silicon Radio, Ltd 
Bus 001 Device 001: ID 1d6b:0002 Linux Foundation 2.0 root hub

で,この状態で,Volumio2 の「設定」→「プレイバックオプション」を見ると,

Photo by hyt.

GENKI Audio が選択できるようになっています.Volumio2 から USB 音源としてキチンと認識されていることがわかります.

Volumio2 から GENKI を使う場合の注意点

これで Volumio2 から GENKI 経由で Bluetooth 接続のヘッドフォンとかスピーカーとかに音を出力できるようになったのですが,注意点しないといけないことがいくつかあります(Bluetooth ヘッドフォンとかスピーカーとかをキチンと事前にペアリングしとかないといけないのはもちろんです).

まず,Volumio2 の「音量オプション」を以下のように設定しておくことです.

Photo by hyt.

  • Mixer Type: Software
  • 起動時に規定の音量: 30

これ,設定しなくても音は出ます.ただし「最大音量」でです.残念ながら,Mixer Type: Hardware だと全く音量調整ができません.そのせいで,下手をすると鼓膜が破れるんじゃないかと思うくらいの音量が出力されてしまいます.そして,Mixer Type: Hardware で音量等が調整できないからと原因は同じなのかもしれませんが,Volumio2 の Equalizer のプラグインは残念ながら今のところ使えないようです.

次に,残念ながら伝送に使われているコーデックが何かは Volumio2 からは分かりません.

これは仕組み的に仕方がない.GENKI は Volumio2 からは USB 音源として見えているだけで,GENKI 内部で Bluetooth の接続・伝送を実現させていますが,GENKI 自体には接続コーデックが何かを示す仕組みが備えられていないからです.つまり,最終的な受け側の Bluetooth スピーカーかヘッドフォンにコーデックの識別の仕組みがないとどうにもならない訳です(残念ながら私の持ってる機材には対応したものがない).

また,残念ながら,少なくとも Raspberry pi zero WE で現状の接続方式の場合は,GENKI のプラグアントプレイには対応できません.つまり,GENKI を接続(外す)にはいったん Volumio2 の電源を切らないといけません.この理由は「Volumio2 から GENKI を使う場合の注意点」に書いた通り.

最後に,これはおそらく Bluetooth の相性の問題だと思いますが,ヘッドフォン(スピーカー)の接続のタイミングによって,ブツブツと途切れた様な音しかしないことがあります.ただし,この場合もいったん接続を解除し,再接続してやるとなおることが多いようです.

実用性その他について

と言うことで,色々制限がありますので,実用的かどうかについては,人にもよると思いますが,

GENKI を Volumio2 専用とし,据え置きで使う分には十分使い物になるが,そうじゃない場合はかなり厳しい

んじゃないかなと思います.やはりプラグアンドプレイに実質的に対応できないって部分がかなり問題だと思う.5千円台半ばとは言え,GENKI Bluetooth って実に色々な機器に対応しているので,できれば色々な機器で使いたいですしね.

さて,GENKI Bluetooth が使えたと言うことは,他にも同じようなガジェットってあるんじゃないの?って思われそうですが,もちろんあります.どうもこの GENKI Bluetooth が流行ったので,同じような目的のものが雨後の筍の様に中華系のメーカーからより安価に発売されています.その内いくつかのものは,伝送コーデックがインジケーターで分かるものがあるみたいですが,残念ながら SBC, apt-X, apt-X LL までの対応で,AAC には対応してなさそう.しかし,これだと Apple 製の機器に対応しているスピーカー,ヘッドフォンの場合,SBC 以外だと AAC のみに対応っていうものが多いので,いまのところ GENKI bluetooth の代替えにはならなさそうです.

逆に,もう少し高価格なものだと,実は Sony の Walkman の A シリーズの USB DAC 機能が使えそうな気はするんですが,そもそも Walkman なら,Volumio2 で聞いてる音源を全部 Walkman に転送してしまった方が話は簡単で,Volumio2 と組み合わせるいみはほとんど無いよな……と思います.

NW-A50シリーズ | ポータブルオーディオプレーヤー WALKMAN ウォークマン | ソニー
ソニー ポータブルオーディオプレーヤー WALKMAN ウォークマン 公式ウェブサイト。ポータブルオーディオプレーヤー WALKMAN ウォークマンNW-A50シリーズの商品ページです。

しかし,ここしばらく Walkman にはなんの興味もなかったんですが(音質を求めなければスマホで十分と思っていた),Walkman,いつの間にがものすごく進化してます.

う〜ん.A シリーズが USB-C に(ネイティブ)対応した時点で,Volumio2 は使うのやめて Walkman に転向しようかなぁ………

以上!

 

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